ネットワークのプラグラムを学習する講義でLinuxについては本来なら各学生が
RaspberryPiを入手するのですが、コロナウイルス対応のため、遠隔講義になり、
まだRaspberryPiを学生が入手できていません。
そこで、インターネット上のLinuxを学生に使ってもらうことにしましたが、
ユーザを単に追加しただけでは、ルートディレクトリが見えたりするので
セキュリティ上問題があります。

これは、リモートワークで一つのLinuxを共有する場合にもおこる問題だと思い
ルートディレクトリを変更する手順をまとめてみました。
各ユーザに対してsshd_configに記述するのは面倒なのでグループで記述してみました。

CentOSでの設定ですが、RaspberryPiなどでも同様にできると思います。
やることは、KCGの学生のルートディレクトリを/home/KCGに変更することです。
 つまりこの下に各学生のホームディレクトリ(/home/各学生ID)を構築するように
 します。
 以下の操作は、管理者(sudo)になってやるのが楽です

1.KCGの学生用グループの作成
  groupadd KCG
  mkdir /home/KCG
  mkdir /home/KCG/home
2.ユーザの追加
 ユーザ作成時にホームディレクトリを作成します。
  useradd -m -d /home/KCG/home/各学生ID 各学生ID
3.グループへの所属
  usermod -aG KCG 各学生ID
4.パスワード設定
  passwd 各学生ID
5.必要なファイルのコピー
  ルートディレクトリ変更後、sshを使用できるようにするために、各コマンドの
 実行ファイル・関連ファイルを変更後のルートディレクトリ配下にコピーします。
 取り合えずこのあたりで、足りなければ追加(下でチェックしてます)しましょう。
  cd /home/KCG
  cp -p -r /bin /home/KCG/bin
  cp -p -r /lib /home/KCG/lib
  cp -p -r /lib64 /home/KCG/lib64
  mkdir usr
  cp -p -r /usr/bin /home/KCG/usr/bin
  cp -p -r /usr/lib /home/KCG/usr/lib
  cp -p -r /usr/lib64 /home/KCG/usr/lib64
6.変更後のルートディレクトリの属性変更
  変更後のルートディレクトリの所有者rootにします。
  属性も755に変更します。
  chown root:root /home/KCG
  chmod 755 /home/KCG
7.動作確認
  必要なコマンド(シェル)が動作するチェックのためにルートを変更してみます。
  chroot /home/KCG
  チェックが終わったら戻します
  exit
  (*)コマンドプロンプトの表示については後述します

上手く動かないときは、コピーしたモジュールが足りなと思いますので
コピーしてください。

8.ログイングループに対するルートディレクトリの変更
  ログインするユーザのグループに対してルートを変更するように
  /etc/ssh/sshd_configに追記します
  Match Group KCG
   ChrootDirectory /home/KCG
 sshdを再起動します。
9.各ユーザのホームディレクトリ変更
  usermod -d /home/各学生ID 各学生ID
  これで、/home/KCG/home/各学生ID に作ったホームディレクトリが
  ユーザには、/home/各学生IDと見えます。

作成したユーザでログインして確認をします。
  pwdでカレントディレクトリを表示すると/home/各学生ID
  (実体は/home/KCG/home/各学生ID)が表示されることが確認できます。
  cd / でルート(実体は/home/KCG)へ移動することが確認できます。
  cd ~ でホーム(実際には/home/KCG/home/各学生ID)へ移動することが確認できます。

補足(コマンドプロンプトの変更)
  ここまでの対応ではコマンドプロンプトが-bash-4.2$などとなります。
  cp -p -r /etc/bashrc /home/KCG/etc/
  を実行します。これだけではユーザ名がでないのでユーザを追加後のpasswdを
  コピーします。
  cp -p -r /etc/passwd /home/KCG/etc/
  これでプロンプトはいつものものになります。